ずっと大事にしてきたものが、
ことっと音を立てる時というものがある。
見てみると、今まで見てきた色やにおいや、肌触りが
それはそれはあたたかく、心地よいことに気付き
なんともいえない愛おしさを感じたりする。
そんな風に思える時があるのだなと、ただ嬉しい。

それもまた変化して、夏の匂いみたいにいつの間にか消えていくのだろうか?
いや、よく考えてみると、私自身が、そういう存在ではないか。
そうだ、ただ空になるだけだ。
そう思うと、日々の喜びや、忙しくすぎていく毎日ですら、
その嬉しさの上で、踊っているのだ。
大事な、空になっても大事な。