私は晴れ女。
そう思ったのは、高校のとき。
ソフトボール部で、チームにひとりしかいないピッチャーだった。
月〜金まで練習、土日は必ず試合で、高3で引退するまで、一日も休みがなかった。
ボールが濡れると滑って本当に投げ辛く、ピッチャーにとっては非常に不利。
交代のいない私にとって、雨はひどい状況のひとつだった。
土日に雨が降らなかったのではなく、雨は降るなら降るだけ降って、試合は中止になる。
私が投げる時は、必ず晴れた。だから一度も雨で滑って投げ辛い思いをしたことがない。
傘を持って出かけても、結局晴れて傘を何処かに置いてきてしまう。
ちょっと奮発してお気に入りの傘を買ってみたこともあるが、それも結局どこかに置いてきた。
傘には縁がない。
雨ふると言われていても、私が本番の日はいつだって天気予報を裏切る。
私は天気さんとしっかり繋がっていると感じていた。
しかし、今年の夏は見事に全部のイベントが大雨だった。しかも本気の大雨。
どうしたんだろな、と天気さんのことを探してみる。
見つからない。よくわからない。夏はやっぱり自分のことがよくわからなくなる。
いつもちょっとしんどくなる夏に、今年はSPANNKOSMOをすることにして、
大丈夫かなと思ったけど、とてもいいライブができた。
私自身がぼんやりしてきて、よくわからなくなって、辛くって、
うんと底にいる私を拾いにいくという毎年夏に訪れるイニシエーションのような儀式をすることなく、
私が私でいれたのはとても嬉しいことだ。
だけど、天気さんが感じられなくなってしまった。
ぼんやりと天を眺めながら過ごしていると、
それは夏の分を全部まとめたようにやってきた。
あまりに怒濤のように私の中を吹き荒らしていったので、なんとも説明し難い。
毎年夏掛けてゆっくりと私を底まで連れて行って、私の色々を見せられて、
それを受け止めて、もがいてもがいて水面に顔を出せるまでかかる全部が竜巻みたいに私の中にやってきて
身体もこころもずたずたにして、すっかり空っぽになってしまった。
なんだったんだろう。気付けば颱風が過ぎ去って、
湖の向こうの山に、青い空とピンクの夕焼けが見えた。
ああ、私はまだ天気さんと繋がっていると感じた。
吹いてくる風がいよいよ冷たくて、
本当に秋が来たなって思う。
あなたと言葉交わすことすら、すべてが新しい。