side-aは太陽。私たちは大昔から、喜びを、悲しみを、祈りを歌ってきた。そして歌うことでこの宇宙に生きる根源的な何かと繋がり、命の繋がりのひとつとしての自分を感じてきたのではないかと思う。どんな状況でも私たちは歌うことができる。今もほら、世界はうたっている!
WE SING
我らはうたう
我らはここに!
かつてスパン子が組んでいたボーカルユニットの相方、アマラ京子の声でside-aの扉が開く。続いて関西女性グループのColloid、長野コーラスグループのjoyful!、ホーメイ(倍音歌唱)の尾引浩志。さまざまな場所のさまざまな声たちが重なり、アルバムの始まりを歌い上げる。まさにWE SING。たくさんの歌声がスパン子の曲を鮮やかに彩り、スパン子の歌声も一層伸びやかに空に向かっていく、「うた」「土」「布」「生きること」が見えてくる華やかなside。
この曲を入れようと思った時は、ちょうどコロナ禍が始まった頃だった。
なかなか会いたい人に会えないというこの生活の変化に戸惑ったが、かつてはこのくらい人に会いに行くということは簡単ではなかったのかもしれない。だからこそ愛おしく、尊く、心の繋がりがこれほど大事なのかと気付く。
人々はいろんな場所でいろんな想いをしながら、生きている。人が心を表現したいときにできることのひとつが歌うことだ。きっと今日もどこかでみんな歌っている。そうやって会えぬどこかの誰かとも繋がっていると感じられる。今リリースするアルバムだからこそ、そんな曲を冒頭に入れたいと思った。
岩手、東京、長野、京都、大阪、奈良の歌い手さんに歌を送ってもらい、完成した【WE SING】!
~空がワレテ、海があふれて、街の灯りと音が消えて、闇の向こうの新しい空に、無数の星たちがひかりだす~
今あるものが裂けて、溢れて、でもその先には必ず光がある、すべては光の方へ。
ホーンセクションでアルバムは幕開けし、SPANNKOSMOの軽快な演奏に、イガキアキコのストリングスアレンジとコーラスグループjoyful!の歌声が暖かく包み込む。スパン子の歌とともに光へ導いてくれる1曲。
人は土に育まれ、土と共に生きてきた。土から生まれた染料で布を染め、纏い、我らはうたう、我らはここに!!
たくさんの女性たちが力強く歌うイメージがもともとあったのだけれど、スパン子を長にColloidが見事にそれを体現。晴れやかな民の歌。
世界を変えたいならば、まず自分を変えろ!
自分の可能性を信じて、どんどんswich 入れていこうという歌。
土と布から繋がってColloidが参加。Colloid族的なフレーズが脳内switchをどんどんonにしていく。
地球のうた。宇宙に浮かんでいる青い星を愛おしく想い、抱きしめる。
ホーンとうたによるシンプルな楽曲構成。金環日食のような環の光と、金色に光る管楽器をかけて金環と名付けた。joyful!の歌声が宇宙空間を更に広げている。
海ノ口池、と呼ばれる湖の鳥女の伝説
舞踏のささらほうさら公演「なしで、」のために書き下ろした曲「円周率」にのせて、スパン子が伝説を語り、宇宙の理を導き出す。
鳥女の話よりもずっとずっと昔の話。その頃、空にはまだたくさん穴が空いていて、神さまたちがそこを行ったり来たりしていた。
アイヌに伝わる「カンナカムイと娘」という話をもとに作った曲。冒頭のアイヌ語はアイヌ神謡集より「梟の神の自ら歌った謡~銀の滴 降る降るまわりに」の一節。joyful!の輪唱で物語の中へ。
鳥女という生命力そのもの、湖の化身が現れる夜の歌。
梅田千晶のアイリッシュ・ハープが美しく、どこか懐かしく、湖の輝きや夜の深みを表している。「民族模様のような曲にしたい」というスパン子のイメージをメンバーと共に力強く作り上げた作品となった。
247年かけてゆっくりと太陽の周りを回る冥王星に想いを馳せて。
SPANNKOSMOの奥行きのある演奏の上で、バッキーのアルトサックスが、遠い遠い宇宙の果てにあるロマンを奏でている。
side-bは月。私の中心を感じる。
spannkosmo-pianoから6年。スパン子の真ん中にどっしりとあるピアノがより一層大事に弾かれているピアノアルバム。今回はSPANNKOSMOバンドメンバーとともに、シンプルにもリッチで渋いサウンド。2ndの楽曲のバンドバージョンも数曲。名曲「山羊と星と君」は歌にゆかりのあるシンガーたちも加わり、感動の一曲となっている。原点に根っこを下ろしながら、これからまだまだ拡がっていく可能性を感じさせる一枚である。
「人間力」をテーマにつくったピアノの曲のバンドバージョン。
冒頭のホーンセクションは船の汽笛。新たな世界へ、航海が始まる!
当たり前だと思っていることは、本当に当たり前なのか?いつもみている風景を、ちゃんと思い出せるか?
今夜あなたと会えたことは、ひとつの奇跡だってこと。
2nd album「spannkosomo-piano」中の「fantastic-impronputu 呼んでる」をバンドバージョンにアレンジ。呼んでるのテーマは自分の中から聞こえる始業のチャイム。そろそろ気づいてと本能が呼んでいる。
自分の中に閉じ込めてきてしまった子供。扉はすぐそこにあるのに、一歩踏み出せば外の世界なのに、その柵はすぐ越えられるのに、どうしてもできずに箱の中でぐるぐる。
そんな箱の中の子どもが、ついに解放され、自由を得て、空に飛んでいく。
私の住んでいる大町市はとても寒いところ。空気は凍てつき、雪は多く、大きな氷柱もできる。全てを真っ白にし、境界線をなくしてゆく雪も、春になれば溶けて、湖に流れ込み、木々に吸われ、やがて大気となって、いつしかまたここに還ってくるのよね。