前回、アナエアロビコというコーヒー豆と出会い、衝撃を受け、
もしかして・・・・⑤ドルチェ:ママサ=4 : 6 の深くてまろやかで真っ直ぐな珈琲に、この衝撃のストロベリーアナエアロビコをプラスしたらどうだろうか?
という閃きがあったところでレポートを閉じた。
実はその後の話がある。
ラトリエで試飲会が解散になったあと数時間後、足立さんから連絡があった。
アナエアロビコを入れてブレンドしてみたのでいつでも良いので豆を取りに来てくれないかとのことだった。なんという迅速な!美和ちゃんと話して、これは今すぐ試飲に行こうということになり、夕方またラトリエで集合した。まるでアナエアロビコの風に連れて行かれているような感覚。
足立さんは3種類のブレンドを用意してくれていた。
① ドルチェ 20g + ママサ 20g + アナエアロビコ 10g 4:4:2
② ドルチェ 25g + ママサ 20g + アナエアロビコ 5g 5:4:1
③ ドルチェ+ママサ 40g + アナエアロビコ 10g 8:2
この3つの豆のブレンドだが、ママサが一番深煎りで、続いてドルチェが中深煎り、アナエアロビコ浅煎り、と焙煎の深さが皆違った。つまりブレンドするのに3回の焙煎が必要で、その分手間も時間もコストもかかるということだ。そこで、ドルチェとママサを同じ焙煎度にして、そこにエアロビコをブレンドするというのが③だ。③は焙煎2回でブレンドできるというわけだ。「ブレンドとしてはインパクトのあるものだと思います」と足立シェフ。ドキドキの試飲会スタートだ。
ではでは、飲んでみた感想。
① ドルチェ 20g + ママサ 20g + アナエアロビコ 10g 4:4:2
飲んだ瞬間、アナエアロビコがふわあっと口の中につむじ風を起こし、その向こうにドルチェとママサがどっしりと深入りで支えてくれている。1回目の試飲で飲んだドルチェ + ママサの組み合わせは美味しいけれど印象が薄かったが、エアロビコのおかげで持ち味の深みや甘みが引き立てられた気がする。
② ドルチェ 25g + ママサ 20g + アナエアロビコ 5g 5:4:1
エアロビコが1割になった分、ドルチェの割合が増えて、ドルチェ + ママサの深くて、甘くて特別なビターチョコをいただいた時のような満足感。そこにアナエアロビコがそよ風のようにふわっと居る。ともすればエアロビコのことは意識しないと感じられないかもしれないが、ドルチェ + ママサの味は俄然引き立てられていて、とても美味しいブレンドだ。
③ ドルチェ+ママサ 40g + アナエアロビコ 10g 8:2
ママサの深煎りが中深煎りになったので、全体的に軽い印象。アナエアロビコのストレートを飲んだ時の感じに近くなったが、ドルチェ + ママサと入り混じって、軽めな味のマーブル模様のようだった。少し酸味がたつかなといった感じ。
美和ちゃんは②が美味しいと、私はやはりアナエアロビコの衝撃波と深煎りの深みが欲しくて①がいいのかな、とかなかなか悩ましいところであったので、午前中の試飲もしてもらった熊坂くんにも飲んでもらってみてください、と足立さんが豆を持たせてくれ、解散となった。
家に帰って早速、熊坂くんに三種類飲んでもらったが、やはり同じように悩んだ。しかも、朝からコーヒーばかり飲み、体がコーヒー飽和状態になってきた。これは、もう今日の判断は無理かもしれない。とりあえず③は今回は違うなということになり、①と②を毎朝、一種類ずつ飲んで、その印象で決めることにした。
翌日は① ドルチェ + ママサ + アナエアロビコ 4:4:2を飲んだ。
やはりとてもアナエアロビコっている。朝飲んで奮い立てるような強さ。それにしても美味しい。
やはり今回のブレンドは、アルバムの発売記念であり、そのシンボルとしては良いインパクトだし、美味しいし、香り良いし、①で良いのでは、という話をする。明日の②が楽しみだ。
そのまた翌日は②ドルチェ + ママサ + アナエアロビコ 5:4:1を飲んだ。
アナエアロビコの主張はそこまで強くなく、でもそよ風として確実にそこにいるし、何よりそのバランスの良さに驚いた。①のようなインパクトはないが、ともかく美味しさのインパクトが半端ない。その美味しさが一口飲むごとに、じわじわと全身にしみ通っていき、これは毎朝「飲みたい」と思えるものだ。少し冷めてから飲んでみてもまた美味しい。まるでドルチェ + ママサの美味しさを、アナエアロビコが逐一運んできてくれているよう。そしてそのさりげなく運んできてくれた時の残り香が、全ての豆の上に降り注ぐ。飲めば飲むほどこのブレンドの完璧さが見えてくる。絶妙なバランスのブレンドができてしまったのではないだろうか!!
美味しい豆をゲットした時の、あの朝の楽しみな感じ。歓びのブレンドだ!
この朝、今回のブレンドは②でいくことに決めた。
アナエアロビコは私にとって本当に新しい風だった。心が動いたり、脳みそが開いたり、そんな感動が新しい世界を作っていくのだなとつくづく思う。私もそうやって音楽を作り続けていこう。私の中で確実に何かが動き出した。本当は今の状況も見て、発売日近辺でのライブはする予定は立てないでいたのだが、アナエアロビコに連れられて、ひとついいことを思いついてしまった!このことについては決まり次第、近日またお知らせする。
ラトリエ足立シェフ、素晴らしい豆との引き合わせ、そして絶妙なブレンドを本当にありがとうございました。ラトリエは本当に素晴らしい場所で、いつ行ってもいい風が吹いている。スタッフの方々もとても気持ちの良い方々ばかりだ。シェフのいつでも何かを創り出すその姿勢がこの風を生み出しているのだということを体感した。決して惰性のない場所。いつも創造の歓びがある場所。
orchestra=オルケストラはギリシャ語。
ステージと客席の狭間。あの世とこの世の境、私とあなたの間、その「狭間」にいつも魔法がある。
そこに吹き込んだアナエアロビコの風。まるで魔法を運んでくれるように。
皆さんのもとにもアナエアロビコの新しい風が届きますように。
このブレンドを「オルケストラブレンド」と名付けようと思います!
引き続き、制作過程をレポートしていきます。