気付けば今年は海の口ピアノ教室が始まって10周年でした。先日、8月11日に発表会を迎えましたが、その2週間前くらいにそのことに気づき、そのまま静かにやり過ごそうかとも思いましたが、やはり今まで教えてきた生徒と、それを支えてくれた親御さんをはじめたくさんの方々に向けての感謝をお伝えする意味でも、10周年をお祝いしようと思い、その年表と記念の品を作りました。

以下発表会プログラムに載せた文章です。本当にここまでみんなと楽しくピアノを弾いてこれたことを嬉しく思います。
どうもありがとうございます!

 

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● 2022 年海の口ピアノ教室 ピアノの発表会を迎えて  熊坂 奈都美

2012 年の4 月に私は長野県大町市に埼玉県から移住してきました。引っ越しの際に、ピアノを売って出てきたので、ピアノなしの新しい生活が始まりました。すると越して間も無く、ご近所の方(金原寅之助くんのおばあちゃん)が畳屋さんの2階に眠っているピアノを見つけてくれました。あまり弾かれていないので音はこもっていましたが、その奥の方にいい音が眠っている予感のするピアノでした。まるでこれから始まるピアノ生活を暗示するような!?どうやってそれを引き出していこうか、とワクワクしたのを覚えています。「これで、ピアノ教室やったらいいじゃないの!」と寅ちゃんのおばあちゃんが明るく勧めてくれました。それまで東京で2人の子どもと1 人の大人を教えたことがありましたが(そのうちの1 人が、今日も来てくれている平山つららさんです)、経験もあまりなく、何しろ自分は教えることには向いていないと思っていたので、長野県に来てすぐにピアノを教えるつもりもありませんでしたが、彼女とその娘たちが背中を押してくれたのがきっかけで、息子を入れた4人の生徒にひっそりとピアノを教え始めることになりました。緊張しながら模索しながらのスタートでした。その後ご近所さんが噂を聞きつけて、ピアノを習いたいと足を運んでくれ、生徒は7 人になりました。こうなったら発表会をやろう!と翌年2013 年の春に奮起し、第一回目の発表会が開催されます。その発表会がとても楽しく、生徒たちの緊張して、でもやり遂げた時のなんとも言えない表情、清々しさがたまらなく良くて、胸を打つものがありました。この一番初めの発表会は教室を続けていきたいなと思う大きな出来事でした。
私がピアノを習った時代は、教本といえば「バイエル」。おうちでしっかりお稽古をして、うまく弾けなければ怒られ、楽譜が読めなかったら不正解。厳しい先生も多かったと思うので、途中でピアノを断念した人も多かったと思います。「私は途中でピアノを挫折しました。。。」と顔色を曇らせていう人がとても多いように思いました。もっと自由に弾いていいはずのピアノをつまらないと思ってしまう人がいるのはとても残念でした。なので、とにかく音楽の楽しさをまず初めに伝えようという指針を掲げ、ピアノを教え始めました。とにかく弾きたい曲をまず弾き始めること。弾きたいから楽譜を読もうとする、技術を習得しようとするという流れを作りたいと思いました。私は生徒に弾いてみせて、その真似をして弾かせていました。すぐに弾けるようになるので、生徒はみんな楽しそうにピアノを弾いていました。次はこの曲を弾きたいといつも目を輝かせていました。しかしこの方法では「私がいないとピアノが弾けるようにならない」「音を探してしまうので、楽譜を読もうとするチャンスがない」「一曲弾けるようになるまで時間がかかる」など様々な問題点が出てきました。ですので、「自分で弾きたい曲が弾けるようになる」を目標にすることにしました。しかしここからは試行錯誤で、やはりそんなにうまくいきません。耳コピをさせたり、コードで読ませてみたり、曲を作らせてみたりと色々やりました。でもやはりいつも鬼門になるのが譜読み。楽譜は本当はそんなに難しいものではないのですが、一度やだと思うとまるで訳のわからない暗号に見えるようで、今度は「私はピアノは弾けるけれど楽譜は読めないから。。」という人が増えてしまう傾向が見えてきてしまいました。これはまずいと、あれこれと試行錯誤しましたが、最初の頃の生徒には申し訳ないけれど、やはり初めから楽譜を読むレッスンをすることが大事だということが今になってよくわかりました。今は譜読みと同時に、身体を使ってピアノを弾くことも伝えるようにしています。ピアノは座って手だけ動かしているように見えるかもしれませんが、実はものすごい全身運動です。私のピアノの先生が「ピアニストはアスリートよ」とおっしゃっていましたが、その通りだと思います。身体が使えるようになると、ピアノがスムーズに弾けるようになる。両手の指がうまく動くようになれば、譜読みも楽になるし、曲を弾きこなすことも早くできるようになると思って取り組んでいます。。いつもこれでいいのかなと思いながら、でも楽しそうに弾く生徒に救われていました。どうしても音楽の楽しさを伝えられず、やめていった生徒もいました。生徒の学校での悩みを聞く1時間になる時もありました。生徒一人一人のドラマの一場面に触れられる幸せな10 年間でした。楽しさしかありませんでした。そんな生徒たちと、私のやることに喜んで賛同し、託してくれた親御さんたちの自由な感性に本当に感謝いたします。どうもありがとうございました。これからも、音楽の楽しさとピアノの魅力満載の教室を目指して、頑張っていきたいと思います。

10 年間、私が変わらず持ち続けていたこと。
この先ピアノ続けても、ピアノから離れてもいい。でもどんな時代のどんな時にも、強く生きていけるように、自分の中にあるもやもやとした何かを音にすること、形にすること、この世に生み出すこと、そういった体験を通して自分自身に触れることを大事にしたい。舞台袖からステージに生徒を見送るときに、生徒の中に蠢く緊張と、不安と、高揚と、それを乗り越えようとする強さに触れ、いつも心を打たれます。何があっても君なら大丈夫、強く生きていけるよ。と心から思います。

 

● 10 周年記念にマグカップを作りました!本当はデザインも募集したかったのですが、気づいたのが間近だったので、私の描いた猫ちゃんの10 の文字と、いつものピアノの絵のカップにしました。

 

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● kakunaka bakeさんのカヌレ

生徒のお母さんがお菓子屋さんをやっていて、そのカヌレが極上なので、焼いてもらいました。これまた2日前くらいの相談だったのですが、いいよいいよと快く引き受けてくださり、素敵な記念品が出来ました。どうもありがとうございます。

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● 海の口ピアノ教室の年表です。クリックして拡大してみてください。

年表